感想:「現場ですぐ使える時系列データ分析」(横内大介/青木儀充)

データ分析のための書籍感想[001]


「現場ですぐ使える時系列データ分析」
著者:横内大介/青木儀充
出版:技術評論社

一言で言うと、”時系列分析≒以前の自分との相関は?”


2003年にグレンジャー教授とエングル教授がノーベル経済学賞を受賞して脚光を浴びた時系列分析を非常に分かり易く説明した書籍です。私は学術的な部分はまったく門外漢ですが、この書籍で取り上げられている数式は(おそらく意図的に)比較的簡易なものが中心なので、一般的な統計書の数式を読める方であればこの書籍のみで、時系列分析がどのような発想でデータを扱おうとしているかを把握することができます。もちろん実際は遥かに難しく深い分野と思いますが、少なくともそう思わせるほど説明が良くまとまっています。

前半が理論の説明で、後半はRを用いた適用例になっています。例は株の値動きの比較や銘柄の分類です。著者の一人が証券情報サービスの最大手Quick社の人間なので、読んでいて説得力があります。私が大学で勉強した心理系の統計学は複数群の比較が中心でしたので、この書籍で紹介されている時系列分析は興味があって読みましたが、この分野が初めての読者にも十分な難易度と満足度がある書籍です。付録としてRの説明にある程度ページを割いていますが、このあたりは少し冗長な印象があり、できれば適用例の方が良かったと感じました。

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